小さな企業をつなぐBtoBプラットフォームサービス

インドにおけるBtoBイーコマースの市場概要

Redseer(インドの調査会社)によるとインドにおける、BtoBのイーコマース市場規模は2019年時点のUSD換算でおおよそ、1.7b(約1700億円)と言われており、世界市場規模の約1%にあたる。BtoCの市場規模と比較しても約8倍大きい。

しかしながら、インドでは組織とはお世辞とも言い難い規模の小売店が約96%にものぼるため、WEB上では確認できない潜在的な取引が多く、これらの小規模事業者がまだまだデジタル取引に参入していないとなると発展の余地があると考えられる。

2019年12月時点で、中国に次ぐ第二位のインターネットユーザーを抱えるインドだが、人口に占めるインターネットユーザーの割合は中国が54.3%に対して、インドは34.5%と相対的に少ない。企業間におけるオンラインBtoB市場に関する認識欠如、オンライン支払いに対する消費者の警戒心が影響しているともいわれている

またこういった背景からデジタル化を推進するインド政府はStart-up Indiaは、起業家、アドバイザー、投資家のコミュニティを活性化させ、起業から最初の3年間は法人税を免除する取り組みを実施している。

企業情報

企業名:Udaan

起業年:2016年

創業者 : Amod Malviya, Sujeet Kumar, Vaibhav Gupta

従業員数:1000~

企業URL:https://udaan.com/

Udaanは中小/零細企業同士が製品を売買することができるオンラインプラットホームだ。
インド国内の卸売業者・小売業者・製造業者が同じプラットホーム上で取引が可能で、トレードに関してアルゴリズムに基づいたインサイトをユーザー企業に提供することで、お互いのビジネスの成長機会を与える。

プラットホーム上ではインド国内29州から15万以上の取引相手を探すことができ、AIに基づいた適切なマッチングによりビジネスを効率化、更に値段や条件に関する交渉も可能だ。



出所:Udaan HPより抜粋

起業当初、Udaanは電子機器、ステープル、アパレルの小規模な買い手と売り手のためのロジスティックプラットフォームを開始。創業から 8〜10ヶ月、ロジスティクスにのみ焦点をあわせ事業を構築。その後、供給事業に参入する前に、買い手と売り手の膨大なデータデータベースの開発を行っていった。

サービスの特徴をまとめると以下となる。

・多数のカテゴリにわたる顧客、サプライヤ、および製品を発見

・安全な支払いとスムーズなロジスティクスにより、お客様の条件で売買

・志を同じくする関係者との繰り返しと関係を通じてネットワークを成長

プラットフォーム上のマーチャントに会計、注文管理、支払い管理ソリューション、運転資金を登録企業にリーズナブルな料金で提案している。小売業者や卸売業者向けのプラットフォーム上で、これらの中小企業向けのローンの引受取引も実施した。

また、中小企業に資金を提供するためのノンバンク金融会社(NBFC)のライセンスも取得。

投資環境について、インドにおけるB2BEコマースプラットフォームに対する投資家の関心は大幅に高まっており、小売業者、卸売業者、トレーダー、製造業者向けのバンガロールを拠点とするB2B eコマースマーケットプレイスは、7ラウンド以上の資金調達で合計6億8,130万ドルを調達。Udaanは2021年に中国のインターネット大手Tencentを含む既存の投資家から、2億8000万ドルの資金調達した。

Udaanのビジネスモデル

現在、Udaanのマネタイズはトランザクションフィー、ロジスティクス、および貸付の組み合わせだ。Udaanは、カテゴリごとに異なる手数料として売上のパーセンテージを課金。Udaanはまた、製品と数量によっても異なる、購入者からの配送料金の形でロジスティクスの料金を売上として計上している。


※ビジネスアースにて作成

最後に

領土が広い国において、ITを活用した互いの商材情報を早く迅速に届けるマッチングプラットフォームは今後成長がますます加速されていくだろう。特にBtoBにおける情報収集はオフラインにおいて限界があるので、こういったサービスの注目はさらに高まっていくことが予想される。

著者プロフィール

小松彰洋。Business Earth管理人。大学卒業後、外資系IT企業で営業やマネジャー職を経て、現在はIT関連の経営コンサルティングやソフトウェアセールス領域で活動中。