ビール業界の革命児、ニューヨーク発のオンラインプラットフォームTapRm

企業情報

企業名:TamRm

起業年:2018年

創業者:Jason Sherman

従業員数:32人

創業国:アメリカ合衆国

企業URL:https://taprm.com/

TapRmとは

TapRmとは、ニューヨークを拠点とする、ビール販売のオンラインプラットフォームを提供する会社だ。同社のサービスを端的に表すと、ビール販売に係る中間コストの削減を実現したディスラプターといえる。

アメリカではクラフトビールが人気で、各地にブルワリーやマイクロブルワリーと呼ばれる醸造所が点在する。しかし、州によって独自の規制が敷かれているケースや仲介人の存在により、生産者がオンラインでビールを販売するのが難しい状況にあった。実際、1,190億ドル(2019年)にも上るアメリカのビール市場のうち、0.2%しかオンライン上で取引されなかったというデータも発表されている。

ここに目を付けたのがTapRmの創業者であるJason Shermanだ。従来であれば、卸売・小売・配達といった業者が別々に存在していた部分を、TapRmが特殊なライセンスを取得し一手に担える仕組みを整えたのである。これによりビールの生産者がTapRmを通じ直接生産者に届けられるようになった。

 

サービスの特徴

  1. 中間コストの削減

TapRmの最大の特徴は、最も古い業界のひとつとされているビール業界に長年存在してきた中間業者の手間やコストを、TapRmが全て引き受け管理することで、ビールブランドがいつでもどこでも消費者にリーチできるようなプラットフォームを提供しているという点だ。

出典:TapRmより

2.高い成長性・十分な市場性

全米では1000億ドル以上(ニューヨークに限定すると40億ドル以上)の市場規模があるビール業界でも、オンラインでは全体の0.2%しか取引されていないという点にTapRmは着目した。2019年時点で同社が発表した内容によると、2024年内には1億5,900万ドルの経常利益を見込む。さらには新型コロナウイルスの影響もあり、アメリカのアルコール販売のEコマースに占める割合が急速に伸びており、同社に取っては追い風となっている。2020年には600万ドル以上の売上、年成長率は670%を見込んでいる。

3. 他では見つからないビールがTapRmで購入可能

TapRmと提携しているビールブランドのうち97%は、他のオンラインサービスでは購入できない商品を提供している。TapRmでしか購入できない商品を多く掲載することで他社との差別化を図っている。

TapRmビジネスモデル

収益源

生産者から取引毎にマージンを得ている。レストランやスーパーマーケット等の場合取引の30%を、消費者の場合は取引の50%をTapRmが得る仕組みだ。ただし、配送費用については飲食店・小売店・消費者側の負担である。顧客企業から利用料を徴収し収益を得ている。料金プランは以下の3つが用意されている。

まとめ

旧態依然としたビール業界の仕組みに一石を投じたTapRmは、創業後間もなく150万ドルの資金調達を達成。ビール業界のAmazonとの呼び声も上がっている。ただし同社は、現時点ではAmazonのようにあらゆる商品を取り揃えるという予定はない。消費者には新しい選択肢、つまり他では手に入らないような珍しいビールを提供することで、消費者だけでなくビール生産者(珍しいビールの製造元、十分な配送機能を備えていないような小さなビール会社等)にとってもメリットのあるサービスを目指す。今後の方針としては地元商圏のニューヨークに注力しつつ、複数都市への展開も検討していくという。