Uberビジネスモデルを「市場調査」に。ビル&メリンダ・ゲイツ財団から直接投資を受けたSurveyAutoの狙い

企業情報

企業名:SurveyAuto 
創業年:2019年
創業者:Umar Saif
従業員数:11-50人
企業URL: https://surveyauto.com/

SurveyAutoとは

市場開拓の為、会社から発展途上国の現地調査を依頼された。

あなたならどうするか。

一般的には、多くの人が市場調査の為に、人を派遣してアンケート調査などを行うだろう。
もしくは同僚と一緒に、自ら現地に足を運ぶ手段を選択する人もいる。

現場での調査は、その土地や文化の理解が深まる一方で、アンケートや様々なデータ収集作業を行えば、人為的ミスによりデータ欠落や改ざんが行われることも少なくない。また、調査対象地域が広範囲な場合、調査人数が限られている為、費用の側面からも効率的に調査することは難しい。

そんな企業の悩みを解決すべく、パキスタン出身のコンピュータ-科学者であるウマル・サイフ氏は、画期的な市場調査プラットフォームを開発した。

機械学習プラットフォームを活用し、衛星画像とハイパースペクトル画像を利用することによって、家や建物、農地、水域、道路構造を識別。一般公開されている地図データを組み合わせることによって、より正確に調査対象地域を絞り込むことを可能にした。

さらに面白いことに、現地調査を行う調査員はSurveyAutoのアプリケーションをダウンロードした地元の人である。つまり、タクシー業界のUberのように、リサーチ調査業界において、現地の人々が調査依頼を受け、実行して対価をもらうクラウドソーシングの仕組みだ。

調査を依頼する企業や団体は、ビジネス展開をしたい対象地域を的確に絞り込むことができるだけでなく、地域や場所によってアンケート内容を変更することでき、調査員の状況を確認し、リアルタイムでアンケート結果を分析することができる。

いま、どの地域でどのくらいの病人がいるのか、どのくらいの貧困層がいるのか、ある商品がお店にどのくらい陳列しているのか、などあらゆる種類の調査を「いつ、だれが、何を、どのように調査して報告すべきか」を瞬時に分析し、実施することができるのがSurbeyAutoの強みだ。

SurveyAutoの顧客によると、従来の調査方法よりも40%コストを削減できるという。

コロナ禍での実績

2019年には、市場調査のクラウドソーシングビジネスモデルの可能性を探り、医療サービスの向上や製品発売の実現に向けてビル&メリンダ・ゲイツ財団からUS$180,421(約1900万円)の直接投資を受けている。

また、2020年には世界各国でコロナが蔓延する中、パキスタン連邦政府は、SurveyAutoのCEOであるUmar Saif氏に対して、各地域のコロナ感染状況を調査するように依頼し、ロックダウン対策の指揮を執った。

最後に

市場調査業界は、US$75 billion dollar(約7.7兆円)とも言われる巨大マーケットであるが、世界中のタクシー業界に旋風を巻き起こした米Uberのように、SurveyAutoも同様のビジネスモデルで市場調査業界に大きく影響を与えることになるだろう。