Ruckify CtoCレンタルビジネスで地域経済を活性化する

要点

  • 不景気には休眠資産を活用
  • 収益化のコツは取引料金と保証金双方に課金
  • ビジネスで社会問題も解決

ストーリー

IT技術が台頭していくなかで、あらゆるものが、身近で手に入るようになってきた。物質主義から精神主義時代に移行し、「もったいない精神」が広まっている。必要でなくなったものはメルカリで販売し、リサイクルショップに持っていくなど、リサイクル・リユース・レンタルビジネスブームが大きく到来。2008年の景気後退環境下でAirbndが創業したように、不況時には革新的なレンタルビジネスが生まれる傾向がある。

2017年に、アメリカで創業したRuckifyは、CtoCのなんでもレンタルプラットフォームを立ち上げた。 まさに、Airbnbのようだ。ビジネスアイデアは、不便な経験から生まれた。共同創業者のSteve Cody氏は、地元の街に大きな嵐がやってきた後、辺りに大木が倒れていることを目の当たりにした。木を切って処分するために、チェーンソーが必要になったが、この作業のためだけに、お金を費やすことに躊躇した。なぜなら、隣人が持っていれば、一時的に借りれば解決する問題だと思ったからだ。この体験から、Cody氏と共同創業者のBruce Linton氏は、誰もが必要なものを簡単にレンタルできるプラットフォームを立ち上げることを決意。

市場のニーズを確かめるべく、テストマーケティングを30の市で実施し、50万の商品をプラットフォームに載せることに成功。Cody氏は、人々がものを買うのではなく、共有するような時代になれば、世界で不必要に物を作る時代が淘汰され、より良い環境になるだろうと熱い思いを抱き、ビジネスプラットフォームの拡大に向けて本格的に稼働。

調達した資金からマーケティング予算をUS$700,000(約7300万円)立て、認知度を向上する為にアクセルを踏み込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの人々は貯金することや、お金を稼げる場所を探し求めた結果、Ruckifyに行き着く人が増加し、当初計画の半分の予算で集客することができた。同氏は顧客がRuckifyを利用する理由は3つであると述べている。

1.地域のコミュニティーを促進させること
2.環境に負荷を与えないこと
3.お金を作るまたは貯金すること

企業概要

企業名:Ruckify
起業年:2017年
創業者: Steve Cody 
従業員数: 51-200 
企業URL:https://ruckify.com

ビジネスモデル

Ruckifyのプラットフォームは、本、車、ジェットスキー、家、電子機器、ファッションなど、ありとあらゆるものを貸し借りでき、出品者と顧客は無料で利用できる。収益化のポイントは、1.出品者に対しての取引料金に対する10%の課金 2. 顧客が出品者に預ける保証金へ1.9%の課金だ。

保証金額(預かり金)は、出品者が決めることができる。その値に1.9%を課金して、収益化することで、出品者(取引料金への課金)と購入者の両方へ課金を実現させている。決済システムはアメリカのStripeを利用していることから、一回の取引に対しておおよそ3.6%をRuckifyがStripe社に支払う。(利率は条件によって変動する)

また、顧客の出品者に対しての支払いタイミングであるが、

①利用開始日5日以内の予約 → レンタル料の100%を支払う

②利用開始日から5日以上の予約→50%を前払いし、レンタル開始時に残りの50%を支払う

さらに面白いことに、出品者が顧客(借り手)のレビューを行い、Ruckifyに報告した時点で、出品者に売上が支払われる仕組みになっている。このような制度設計にすることで、借り手の質を保ち、各地域において問題が発生しないように持続可能なサービスを提供する。

ビジネスモデル

最後に

かつて、飢饉や災害、伝染病などが広がった事態には、相互扶助の経済が生まれた。人々は、それぞれの地域において、お金や物の貸し借りを行い、助け合いながら生き延びてきた。つまり、教訓は歴史は繰り返すことである。日本でも各分野においてのレンタルサービスが普及しており、ますます競争が激化しているが、ユーザーの利便性を各段に向上し、笑顔溢れる世界が生まれることに期待したい。