Ordermarkとは?
Ordermarkとは、オンラインオーダーの管理システムを飲食店向けに提供する企業だ。
Ordermarkの創業者であるAlex Canterは、地元のロサンゼルスで歴史ある家族経営のデリ(日本でいうと惣菜屋のようなものが近いだろう)の子息であった。彼は14歳のときにウェイターとしてのキャリアをスタートさせて以来、ほとんど全ての業務を経験してきた。レストランで働く傍ら、この家族経営のビジネスの発展・改善のため、取り得る策を常に考え続けてきた。こういった一連の業務改善は、Alexが大学に通う4年間の間に進められ、彼は大学を卒業した後、実家のデリのビジネス開発オペレーション担当として働くこととなった。
この実家のデリでのビジネス改善の一例がある。2013年、Alexは14ものオンラインオーダーサービス(GrubHub、Eat24、DOORDASHなど)の利用を実験的にスタートする。結果としてオンラインオーダーは殺到、売上は30%増加したものの、全てのオンラインオーダーを管理し捌き切る、しかも継続的にビジネスとしてそれを実行していくのは不可能に近いことを確信した。こういった業務改善を進めていくうちに、彼は業界全体の改善に貢献できると気付き始める。これがOrdermarkの出発点だ。
そして今ではアメリカ全土でサービスを展開、利用企業数は数千にも上る巨大サービスとなった。そしていくつかの資金調達にも成功しており、これまでの合計資金調達額は1億5000万ドルにも上る。ソフトバンクが2020年10月に1億2000万ドルの出資を実行したのは記憶にも新しいだろう。
企業情報
企業名:Ordermark
創業年:2017年
創業者:Alex Canter
創業国:アメリカ合衆国
従業員数:163人(2021年4月時点、LinkedInより)
企業URL:https://www.ordermark.com/
サービスの特徴
Ordermarkのサービスは大きく3つある。Orders™、Sync™、Insights™の3つだ。※「™」は商標の意。
1.Orders™
飲食店の現状として、オンラインオーダーサービス(Uber EatsやDOORDASH等)毎にタブレットが用意され、それぞれ別々にオーダーが入る仕組みだ。1つや2つのサービスであれば人力で管理でき、タブレットを置くスペースにも困らないが、それ以上となると管理するだけで骨が折れる仕事になることは容易に想像できる。その煩わしさを解決してくれるのがこのサービスである。主に以下の特徴がある。
- オーダーの統合
Ordermarkでは、システム1つで、数あるオンラインオーダーシステムを管理できる。
※Ordermarkウェブサイトより抜粋
- オーダー票
多様なオンラインオーダーを同一の形でアウトプットできるため、飲食店のキッチンスタッフも管理がしやすくなる。
※Ordermarkウェブサイトより抜粋
2.Sync™
店側が提供するのは料理だけではない。料理を選んでもらうためのメニューが必要である。従来であれば個々のオンラインオーダーサービスに対し、それぞれメニュー表を設定し、品切れが起こる度にステータスを変更していた。しかしこのSyncを使うと、メニューを1か所で管理でき、変更も1度で済ませることができる。
※Ordermarkウェブサイトより抜粋
3.Insights™
全てのオンラインオーダーを一元管理できるため、当然ながら売上管理も全て1つにまとまっている。サービス毎の売上、チップ、デリバリー費、割引額等が一目で比較可能だ。また、時間別のオーダーの変化も追うことができるため、データに基づいた経営をサポートしてくれる。
※Ordermarkウェブサイトより抜粋
ビジネスモデルと収益源
Ordermarkを利用する飲食店から利用料金を徴収することで収益を得ている。ただし、具体的な料金プランは公表しておらず、「さまざまな料金体系を用意しているため要問合せ」と言及するにとどめている。
まとめ
同社の創業者であるAlexによると、全米では180以上ものオンラインオーダーサービスがあるという。なるほど確かに、それだけ多くのサービスが私達の生活を便利なものにしてくれている。レストラン等の飲食店にとってはそれだけ客との接点が広がり、ビジネスのチャンスも広がったと言える。その絶好の機会をものにするためにも、同社のサービスはポジティブに働くだろう。
筆者
財前 ワタル。Business Earthライター。経営コンサルティング会社でコンサルタント、リサーチャーを担当した後、拠点を北米に移し、広告代理店に勤務。現在は再度日本に拠点を移し、フリーランスとして広告運用、市場調査(主に北米)、記事執筆を生業とする。