ソフトバンクビジョンファンド2の投資先【messho】の戦略とは

ストーリー

世界的に環境問題への意識が高まっているなか、リユース市場は急上昇に伸びている。ドイツのデータ統計会社Statistaの2017年に発表されたレポートによると、世界のリユース・リサイクル市場は2017年の$265 Billion(約29兆円)であった一方で、2024年には$377 Billion(41兆円)まで成長すると述べている。

昔から、プラスティックや水などが注目されていたが、現在はあらゆる物や商品が中古品として再利用されており、ITの発達により、オンライン上で再販売されるビジネス文化が根づいてきた。2013年に、フリマアプリのメルカリが誕生したことをきっかけに、日本でも様々なサービスが出現し、世間の注目を集めている。

そんななか、2021年の2月に孫正義氏が率いる ソフトバンクビジョンファンド2が、インドの会社へ投資を実施した。約13億人の世界第二位の人口を誇る巨大なインド市場で最も勢いを加速させているスタートアップmesshoだ。

2015年にバンガロールを拠点に設立されたmeashoは、What’s Upなどのコミュニケーションツールで中古品や新製品の再販売•販売マーケットサービスを展開するIT企業 。いわば、中古品プラットフォームのメルカリとEコマースショップのBaseを掛け合わせたようなEコマースプラットフォーマーだ。2019年にFacebookからも出資を受けているユニコーン企業であるが、messhoはヒンドゥー語で「My Shop」を意味する。

創業者のAatrey氏は「インドではほとんどの人達が、自分で作った製品や保有している物をオンラインで売るための資本を持てない為、初期費用なしでオンラインでビジネスができるプラットフォームを作りたかった」と述べている。また、零細企業や個人事業主がつくる製品はストリートで販売されることが多い。自分の家族、友人、近隣の知り合いがお店に立ち寄り、購入してくれるが、オンライン販売をする場合、見知らぬ人がブランドや信用力のない商品を買ってくれることはない。そこで、What’s Upなどのオンラインコミュニケーションを活用して、メーカーや生産者が提供するあらゆるジャンルの商品を再販売者(リセーラー)が自分の知り合いのコミュニティに対して、マージンを乗せて再販売することを可能にするプラットフォームを開発した。

現在、インドの約700の町でサービスを展開し、約200万のオンライン販売者を創出し、2万の生産者やメーカー企業に新しい販売チャネルとしてチャンスを提供している。


messhoプラットフォームを活用するビジネスパーソンを1億人創出することが今の目標である。

 

会社概要

企業名:messho
起業年:2015年
創業者 :Vidit Aatrey 
従業員数:750 – 
企業URL:https://meesho.com/

ビジネスモデル

messhoでビジネスを行う90%以上の顧客は女性である。女性の口コミ力を活かし、インフルエンサー、学生、主婦をターゲットに女性の再販売者(リセーラー)を増やして、流通取引額を増やすことが狙いだ。Salary Exploreによると、インドの平均月収は約31,900 INR(約46,800円)であるが、meshooは再販売者として最大25,000 INR(約36,700円)まで稼ぐことを可能にする。

現在、仕事や稼ぎがない女性からしてみれば、スマートフォンとネット環境さえ整えば、What’s up、Facebook、Instgramなどのメッセージ機能を活用して、今日にでもビジネスを開始できる非常に魅力的なプラットフォームだ。


※様々なデータを基に筆者作成

このビジネスのポイントは、人々のコミュニティや信用力を活かした販売プロモーションであるが、裏側では膨大なデータベースを蓄積して活用することだ。過去にはAmazon Redshiftをデータウェアハウスとして構築してきたが、データ量増加による運用コストの負担や障害への対策を考慮して、
データレイクへの移行を決断した。データレイクを使用すれば、お客様の取引データや非構造データなどのビックデータを格納でき、BIツールなどを用いて柔軟に分析することを可能にする。


※messhoウェブサイトより抜粋

収益モデル

meeshoは、配送料サービス料、売買代金への10-20%課金で収益を上げているが、他に面白いマネタイズを行う。それは、商品返品があった場合に、出品者にペナルティー料金を課すことだ。そうすることによって、より質の高い商品だけが販売されることになり、プラットフォームに対する消費者の信頼を高めることができる。2019年度の売り上げは、Rs 84 crore(約12億円)と発表している。

最後に

昨今、ITの発達により、起業や副業をしやすい時代に変化してきている。1億人に起業のチャンスを創出する同社の目標が叶えば、人々に富を築かせることだけでなく、次なる夢や希望も与えることができるのではないだろうか。

著者プロフィール

小松彰洋。Business Earth管理人。大学卒業後、外資系IT企業で営業やマネジャー職を経て、現在はIT関連の経営コンサルティングやソフトウェアセールス領域で活動中。