消費者との接点を作る、レンタルスペース予約サービス[隣匯吧(Linhuiba)]

背景市場

中国では「快閃店(POP-UPストア)」の市場が盛り上がりを見せている。36氪研究院(ウェブメディア36Kr.com傘下)、浙江大学、LOCATION(オフラインマーケティング用ロケーション選定ツール企業)、BRANDMAX(マーケティング企業)が合同で発表した[中国快閃店行業白皮書(中国POP-UPストア業界白書)]によると、中国のPOP-UPストア業界の市場規模は年々成長を続けており、
2020年:3,200億元(5兆4,400億円)
2021年(予測):3,992億元(6兆7,864億円)
2025年(予測):8,320億元(14兆1,440億円)と今後大きな成長が見込める市場となっている。

★POP-UPストア業界取引額規模

※中国快閃店行業白皮書(中国POP-UPストア業界白書)より抜粋

その背景には、WEB広告の価格上昇や中国ではもはや常套手段となっている代言人(芸能人のアンバサダー)に中国政府が規制をかけたことなどがあり、広告主やブランド側としては「消費者との新たな接点」を作り出す必要が出てきたことが挙げられる。そこで注目されているのがオフラインのPOP-UPストアである。

POP-UPストアに必要なもの「スペース」

POP-UPストアには場所(スペース)が必要となる。[中国快閃店行業白皮書(中国POP-UPストア業界白書)]によると、2020年に中国全体のPOP-UPストアの実施回数は960万回であり、レンタルスペースのみの取引金額規模は800億元(1兆3,600億円)を超え、2025年にはその規模が2,000億元(3兆4,000億円)まで拡大すると見られている。
★オフラインレンタルスペース取引額規模

※中国快閃店行業白皮書(中国POP-UPストア業界白書)より抜粋

従来ショッピングモールや商業ビルなどでPOP-UPストアを展開する際、広告代理店などを通す、もしくはショッピングモールに直接問い合わせるなどの必要があった。広告代理店などを通すと費用が高額になり、ショッピングモールに直接問い合わせるとなると手間もかかる。出展側はできるだけ費用を抑えるかつ効率的にレンタルスペースを予約したいというニーズがあった。

隣匯吧(Linhuiba)とは

このような広告主やブランド側のニーズに応えるサービスとして注目されているのが[隣匯吧(Linhuiba)※以下Linhuiba]だ。Linhuibaは杭州隣匯網絡科技有限公司が運営するレンタルスペース予約サービスである。PCやスマホからレンタルスペースを予約することができる。36Kr.comの記事によると、2021年7月時点で中国の100都市を網羅し、レンタルスペースの合計面積は200万平方メートル、全レンタルスペースの1日あたりの来店客数は1.6億人とされており、中国全土に多くのレンタルスペースのリソースを抱えている。レンタルスペースの種類も非常に豊富で、ショッピングモール、住宅地、オフィスビル、スーパー、映画館、街の広場、地下鉄、学校など様々な場所をレンタルすることができる。これだけ豊富なリソースがあれば、POP-UPストアだけでなく、商品の体験展示などとしても利用することができ、様々な形で消費者との接点を作りだすことが可能となる。
★Linhuiba オフィシャルサイト

※Linhuiba オフィシャルサイトより抜粋

Alibaba創業者のジャック・マーやXiaomiの創業者である雷軍が提唱したとされている「ニューリテール」という新たな概念をご存知だろうか。ニューリテールとはIT技術やビックデータをフルに活用し、オフラインとオンラインを融合させた新たなリテールモデルと呼ばれる概念だ。中国ではOMOモデル(Online Merge Offline)というビジネスモデルで説明されることもある。このような流れから、Alibabaなどは積極的に商業施設で体験型のPOP-UP
ストアを展開している。Linhuibaも2018年にAlibaba傘下のECサイトTmallと提携し、体験型POP-UPストアを大々的に展開した実績をもつ。Alibabaのみならず、ECサイト大手JD.com、フードデリバリー大手美団などのIT企業や、シャネル、ペプシコーラ、ネスレなどの大手メーカーとも提携した実績をもっている。

市場のニーズと上手くマッチしたこのサービスは投資家からの注目も集めており、2021年6月には8,900万元(15億1,300万円)の融資獲得に成功している。最新の売上規模は公表されていないが、今日頭条のアカウント[AI財経社]の記事によると、2017年7月の売上が400万元(6,800万円)に到達。また36Kr.comの記事によると、2021年の業績は昨対比300%以上の成長を見込んでおり、業績も急成長していることがうかがえる。

企業情報

企業名:(中)杭州隣匯網絡科技有限公司

ブランド名:隣匯吧(Linhuiba)

設立:2015年3月

創設者:李穎翀

資本金:174万元(2,958万円)

従業員数:非公開

隣匯吧(Linhuiba)のビジネスモデル

Linhuibaのビジネスモデルは場所を貸したい側と借りたい側をつなぐ仲介ビジネスである。メインの収入源は、レンタルスペースの賃貸契約金額に対するマージンとなっている。eastmoney.comの記事によると、マージンの比率はおよそ20%とされている。

サービス詳細

サービス内容としては、一般的な不動産仲介サイトと大きな違いはない。
1.WEBサイトやアプリからニーズに合わせて場所の候補を検索する。
・都市
・付近の地下鉄の駅
・商業エリア
・レンタルスペースの種類
・レンタルスペースの詳細位置(出入口付近、エレベーター付近、ロビーなど)
このように非常に詳細な条件設定をすることができる。
★Linhuiba検索画面:PCやアプリでの利用が可能
①PC版


②アプリ版

※Linhuibaウェブサイト及びアプリより抜粋

2.希望条件にあったレンタルスペースを選び、希望日時等を選択してから予約を完了させる。

ビジネスモデル

まとめ

過去オフラインとオンラインは明確に区別されて来たが、IT技術の進歩、新たなビジネスモデルの出現などによりその壁は取り除かれ、今後オフラインの活用ニーズはますます高まっていくと考えられる。中国はとにかく広い、商業施設の数も日本の比ではない。よって「空間(スペース)」が生み出すビジネスの規模も計り知れない。

参考記事

※1隣匯吧(Linhuiba)オフィシャルサイト
http://sh.linhuiba.com/
※2[Sohu_邻汇吧]2021中国快闪店行业白皮书_行业洞察报告(附下载)
https://www.sohu.com/a/485382117_120641017
※3[36Kr.com]36氪首发 | 商业空间短租平台「邻汇吧」完成8900万元B轮战略融资,实现3倍速增长
https://www.36kr.com/p/1372643808097158?utm_source=pocket_mylist
※4[快懂百科]新零售
https://www.baike.com/wiki/%E6%96%B0%E9%9B%B6%E5%94%AE/19505834?view_id=53htr61fq84000
※5[今日头条_AI财经社]流量战争:线上血拼尸骨累累,互联网企业上山下乡
https://www.toutiao.com/a6460087829413233165/?channel=&source=search_tab
※6[eastmoney.com]线上流量越来越贵?线下洼地还有很多 邻汇吧融资626万
https://finance.eastmoney.com/news/1683,20160930669430250.html

筆者

Fukushima Gaku
大学卒業後、中国北京へ留学。
留学先では中国語アナウンサー技術を学習。
広告代理店、リサーチ企業などを経て、現在は消費財メーカーにて中国ビジネスに従事している。