Fetch Rewardsとは?
Fetch Rewardsとは、買い物に使用したレシートをスキャンすることでポイントが付与されるアプリを運営する会社だ。動画投稿サービス上では、同社のレビュー動画が数多く投稿され、”1日に200ドル分のポイントを稼ぐ”とうたう人も表れるなど、社会的に広がりを見せている。
創業者であるWesは、ウィスコンシン大学マディソン校の大学生だった。2年次の終わりに寮を出ることとなるが、同時に、自分自身で買い物をし始め、食費で節約するのがいかに困難かを思い知る。節約するための唯一の方法は、適切タイミングで適切なクーポンを適切なお店で使うことだった。当時の彼は他にもっと簡単に節約する方法があってしかるべきだと考え、チームを組み、Fetch Rewardsの開発を始めた。2019年には、創業の地であるマディソンの他にシカゴ、ニューヨークにもオフィスを構え、110人もの従業員を雇用したとされている。また、Wesと共にFetch Rewardsを創業したTylerは、2019年のフォーブス誌アンダー30のリストに選出され、同社はアメリカで最も成長している企業5,000のうち、116位に選出された。その成長率は、2016年から2019年の間に3,160%を記録。ウィスコンシン州の中では最も高い成長を叩きだした。
また、同社の試みは、今では多くのユーザーからの賛同を得、アメリカ全土で100万人以上が利用しているとFetch Rewardsは発表している。利用者だけではなく、投資家からの注目も熱い。2013年の創業以来、これまで8度の資金調達に成功。合計の資金調達額は約3億4,200万ドルに達する。
今回の調査では、Fetch Rewardsからの公式な紹介動画は見受けられなかった。代わりに、下記のような非公式の紹介動画はいくつも見つかった。
企業情報
企業名:Fetch Rewards
創業年:2013年
創業者:Wes Schroll, Tyler Kennedy
創業国:アメリカ合衆国
従業員数:361人(2021年4月時点、LinkedInより)
企業URL:https://www.fetchrewards.com/
サービスの特徴
1.レシートスキャンでポイントゲット
日常の買い物で生じたレシートを、Fetch Rewardsの専用のアプリを通して撮影し送信することで、ポイントが得られる仕組みとなっている。ポイント獲得の方法はそれだけではない。いくつかの指定された商品を購入することでポイントが多く獲得できる仕様となっており、ポイントの獲得のインセンティブを働かせると同時に、企業側の販売促進にも一役買っている。さらに、友人紹介によってもポイントが獲得できるため、サービスの拡大の一要因となっていることが推測できる。
※Fetch Rewardsウェブサイトより筆者抜粋。
2.提携ブランド数
Fetch Rewardsの特徴の一つに、その提携ブランドの多さがある。Fetchの発表によると、提携先は数百にものぼるとされている。実際にウェブサイト上には日常生活で頻繁に利用する企業名がずらりと並ぶ。例えば、スターバックスやトロピカーナなどの飲料ブランドから、スキンケア用品、雑誌、ワイン、ベビー用品、小売店のウォルマートなど幅広い。
ビジネスモデルと収益源
スーパーマーケット等の小売店やメーカー、ブランドとパートナーシップを締結し、収益を得ている。具体的な金額は非公表。
まとめ
事前予想では、レシートから得られたデータを集計し、それを基に提携企業へのデータ販売やコンサルティングも実施していると思われたが、該当する情報は公表されていなかった。同社が「日常の食事の節約」から出発したためだろうか。しかしこの分野はデータの活用のチャンスが大いに眠っている。ポイントシステムにより消費を喚起するにつれ、より多くのデータが集まりやすくなる正のスパイラルが生まれるだろう。今後の動きに注目したい。
筆者
財前 ワタル。Business Earthライター。経営コンサルティング会社でコンサルタント、リサーチャーを担当した後、拠点を北米に移し、広告代理店に勤務。現在は再度日本に拠点を移し、フリーランスとして広告運用、市場調査(主に北米)、記事執筆を生業とする。