カーシェアの究極便利形!地域密着型サービスEvo

Evoとは?

Evoとは?

Evoとは、BCAAという自動車保険等を扱う非営利団体により設立された、カナダのバンクーバーとその周辺地域でカーシェアリングサービスを提供する会社である。

バンクーバーの特徴としては、都市と自然がすぐ近くに共存しておりレジャースポットへのアクセスが良い、住民のエコへの意識が高いことなどがあげられる。また、広さは約2,883 km²(東京都区部は約630km²)、人口は約250万人(東京都区部は約960万人)と、東京と比較すると広いエリアに人口が分散しているのも特徴だ。

2015年にスタートしたこのサービスは、2020年時点で約1,500台のプリウスを提供、1日に10,000回以上の利用があるといわれている。単純計算で、1台当たりの1日の平均利用回数は6.6回。そう新しくはないサービスだが、着実に成果も出ている。地元メディアのVancouver Is Awesomeによると、Evoのサービスが約13,500台の個人所有車に取って代わり、1台当たり年間約19,000kmの走行距離削減に寄与しているという。今後は利用者の拡大を図り、1,750台まで増加予定だ。

 

企業情報

企業名:Evo

創業年:2015年

創業者: British Columbia Automobile Association

創業国:カナダ

従業員数:不明

企業URL:https://www.evo.ca/

サービスの特徴

1.どこでも乗り捨て可能

 Evoが対応するエリア内であれば、どこでも乗ることができるだけでなく、乗り捨ても可能だ。道路脇が公的パーキングとして設けられているケースが多く、Evoを利用した場合は駐車料を払わず乗り捨てるだけで良い。よくある利用例としては、

自宅近くでEvoの車を探し、予約、ドライブスタート

友人宅に向かう途中でおみやげを購入

友人宅の前で乗り捨て、ドライブ終了

友人との飲食を楽しみ、帰りはバス・電車・Uber等で帰宅

などである。飲酒を伴うホームパーティや会食等はもちろん、日常の買い物の場面でも重宝されるだろう。

※Evoアプリより筆者抜粋。

2.アプリのみで完結

 日本のカーシェア大手の場合、専用のカードが必要となるケースがある。Evoはカード類を持ち歩く必要は一切無く、車探し・予約・キズの有無報告・返却(正確には、どこでも乗捨可能なため「返却」ではないが)まで、全てスマホ1台で完結する仕組みだ。

※Evoアプリより筆者抜粋。

3.地域のニーズに適応

 ウィンタースポーツ、カヌー、サイクリングが盛んだ。それに伴い、ルーフキャリアが全車両に備え付けられている。また、地域のレジャー施設とのパートナーシップを結び、当該レジャー施設にEvoを使って訪れた場合の割引も用意。利用者が遠出したくなるようなサービス設計だ。

 

ビジネスモデルと収益源

ユーザーからの利用料で収益を得ており、基本的には以下の3つのプランが用意されている。プランは事前に選択する必要は無く、利用時間に応じて自動的に金額が決まる仕組みだ。(※1カナダドル=83日本円)

・1分あたり:0.41カナダドル(日本円で約34円)

・1時間あたり:14.99カナダドル(日本円で約1,244円)

・1日あたり:89.99カナダドル(日本円で約7,469円)

別途年会費として2カナダドル、登録費として35カナダドルが必要。尚、利用時のガソリン代は立替が必要だが、領収書の写真を送ることで返金される。

まとめ

日本の道路事情と大きく異なるのは、「路上駐車がOK」という点だ。その路上駐車にも、有料と無料の2パターンがある。有料の場合は路肩のマシンを使い自分で清算する仕組みで、市街地に多い。無料の場合は標識に従い自由に駐停車でき、市街地を離れると多く見られる。いずれのケースでも、Evoのサービスを利用した場合は駐車料金を支払う必要が無い。

Evoは純粋に民間から生まれたサービスではないが、「交通」はきわめて公共性の高いサービスである。だからこそ、非営利の自動車協会のような、公共性のある団体が主導し進めることで普及したという側面もあるだろう。今後日本でも、自治体と民間が協働し交通サービスを改善するという例が出てくることを期待したい

 

筆者
財前 ワタル。Business Earthライター。経営コンサルティング会社でコンサルタント、リサーチャーを担当した後、拠点を北米に移し、広告代理店に勤務。現在は再度日本に拠点を移し、フリーランスとして広告運用、市場調査(主に北米)、記事執筆を生業とする。