背景市場
今日頭条の配信アカウント【中経情報網】の記事によると、中国の生分解プラスチック市場は2019年の162億元(3,078億円)から2025年には209億元(3,971億元)まで成長することが見込まれる。市場の成長の背景には世界的な環境保護の流れと、中国の政策が大きく関係している。
中国政府は2008年から段階的にプラスチック製品に対する規制を開始し、2020年には直轄市、省都などを中心に各種施設での分解不可のポリ袋の使用が禁止された。そのような政策を背景に生分解プラスチック市場が大きく成長した。
袋拉拉(DAI LA LA)とは?
袋拉拉(DAI LA LA)は杭州机汽猫科技有限公司が運営する生分解プラスチックを利用したレジ袋の自動販売機ブランドである。創業者の楊小軍は袋拉拉を立ち上げる以前、スマートショッピングカートなどを活用したデジタルソリューションを提供するSUPERHIIという企業の共同創業者として起業した経験を持つ人物だ。SUPERHIIも企業しては一定の成果を収めている。2019年には2,000万元(3.8億円)を超える資金調達に成功したり、2019年には10ヶ月で約800万元(1.52億円)の売上を作り出した。SUPERHIIではスマートショッピングカート以外にもレジ袋の自動取り出し機の開発なども行っていた。ある時病院からレジ袋の自動取り出し機の引き合いがあった。それを皮切りに30ヶ所病院への設置に成功し、そのニーズの大きさから病院市場開拓の専門チームの設立が必要となった。そこから生まれたのが袋拉拉だ。SUPERHIIとは別の企業が運営しているが、SUPERHIIがインキュベートしたビジネスと行っていい。袋拉拉は病院にレジ袋の自動販売機を設置し、レジ袋の販売のみならずそこから得られる消費者のデータなどを活用することで新たなビジネスを生み出している。
そもそも病院とレジ袋の相性は非常に良い。病院では薬、CTやレントゲンなどのフィルムなど診察を受けると何かと物が増える。それらを入れておく袋が必要となる。病院側としては自ら袋の調達や管理などをする必要もなくその手間も省けるということでレジ袋の自動販売機は非常に役に立つ存在というわけだ。
袋拉拉のオフィシャルサイトによると中国全土1,000ヶ所以上の病院への設置に成功し、それは三級病院の50%に相当する。設置台数も2,000台を超えている。業績面でも非常に好調であり2021年10月時点ですでに単月黒字を達成するまでに成長している。2022年の売上見込みは6,500万元(12億3,500万円)、2023年の売上計画は1.2億元(22億8,000万円)とされている。
★袋拉拉オフィシャルサイト
※袋拉拉オフィシャルサイトより抜粋
企業情報
企業名:杭州机汽猫科技有限公司
ブランド名:袋拉拉(DAI LA LA)
設立:2019年12月
創設者:楊小軍
資本金:125万元(2,375万円)
袋拉拉(DAI LA LA)のビジネスモデル
袋拉拉のビジネスモデルは【レジ袋販売×広告】の2本柱で成り立っている。
1.レジ袋の販売
消費者が自動販売機からレジ袋を購入する際の代金が売上となる。
★生分解プラスチックを採用したレジ袋
※袋拉拉オフィシャルサイトより抜粋
2.広告
①自動販売機のモニターに表示させる広告
自動販売機にはモニターが取り付けられており、広告主が広告出稿できるサービス。
Wechatの公式アカウント【新工業洞察】の記事によると、設置されている約2,000台の設備のうち約30%で広告サービスが利用されている。広告の種類は主に政府の宣伝広告、NGOの公益広告、企業のブランド広告、医薬品の広告の4種類に分類される。
★レジ袋販売機
※袋拉拉オフィシャルサイトより抜粋
②レジ袋に広告をプリント
レジ袋そのものを媒体として活用し、広告主がレジ袋上に広告を印刷することができる。
上記の2つが現在のメインのサービスとなっているが、将来的にはWechatに蓄積したフォロワーを活用したマーケティングサービスも計画しているようだ。レジ袋を購入する際、決済方法としてWechatペイメントかアリペイを選択することができる。Wechatペイメントを利用する場合、決済前に企業の袋拉拉のWechat公式アカウントをフォローする必要がある。今後そこで蓄積したフォロワーに対して広告をリーチさせるようなサービスを計画している。
袋拉拉は自社で販路開拓並びに運営を行っているわけではなく、代理店モデルを採用している。袋拉拉と契約した代理店が新規の病院開拓や広告枠の提案を行っていく。36Kr.comの記事によると、代理店と袋拉拉側との売上の取り分は以下のような条件となっている。
①レジ袋の売上
レジ袋の売上は100%代理店側の売上となる。
②広告出稿費
袋拉拉と代理店側で売上の50%ずつを折半する。
③設備投資について
新規開拓時に必要なレジ袋販売機については、代理店側が袋拉拉に対して設備1台あたり数千元のデポジットを支払う必要がある。
サービス詳細
※Wechatペイメントを利用した購入方法
1.レジ袋自動販売機のQRコードを読み取る
2.袋拉拉のWechat公式アカウントをフォロー
3.レジ袋の代金を支払
4.レジ袋の受け取り
★レジ袋購入の様子
▶ここをクリックすると動画を見ることができます
※抖音(TikTok)アカウント【袋拉拉取袋机】より抜粋
ビジネスモデル
まとめ
政府の発表によると、2021年11月末時点で中国には3万6,000ヶ所の病院が存在する。袋拉拉は現在1,000ヶ所以上の病院にサービスを展開しているが、それでも病院全体のわずか3%ほどである。袋拉拉の成長余地はまだまだあり、今後大きな成長が期待される。
参考記事
※36氪首发 | 自助取袋机落地近1000家医院,「袋拉拉 」获500万元A1轮融资
https://36kr.com/p/1694030486985602
※袋拉拉オフィシャルサイト
https://www.qudaiji.com/
※定了!继深圳、浦东之后,这里被钦点了!
http://www.myzaker.com/article/60eafd528e9f0935933cc6b4
※融资解读│再获新一轮融资,袋拉拉能否打造“绿色”购物时代?
https://mp.weixin.qq.com/s/-bkuxS7CGaNzEXVKR68Ekw
※袋拉拉取袋机的真正市场价值,你真的了解吗?
https://www.sohu.com/a/532418913_121248816?scm=1019.e000a.v1.0&spm=smpc.csrpage.news-list.1.1651924490140KOxpzMK
※2022年中国可降解材料市场研究报告
https://www.iresearch.com.cn/Detail/report?id=3973&isfree=0
※2020年中国可降解塑料市场现状与发展前景分析“禁塑限塑”政策逐步落地 可降解塑料市场可期
https://www.toutiao.com/article/6922328366339064333/?channel=&source=search_tab
※2021袋拉拉年会成功举行,袋拉拉取袋机全面赋能合伙人
https://www.toutiao.com/article/6946124203930337831/?channel=&source=search_tab
※2020年中国可降解塑料市场现状,市场替代空间巨大,行业前景广阔
https://www.toutiao.com/article/7005807987075842599/?channel=&source=search_tab
※2021年11月底全国医疗卫生机构数
http://www.nhc.gov.cn/mohwsbwstjxxzx/s7967/202201/e043142f1df54175a3860d4776891b9e.shtml
筆者
Fukushima Gaku
大学卒業後、中国北京へ留学。
留学先では中国語アナウンサー技術を学習。
広告代理店、リサーチ企業などを経て、現在は消費財メーカーにて中国ビジネスに従事している。