企業情報
企業名:Cleo
起業年:2016年
創業者 : Barney Hussey Yeo
従業員数: 51 – 100
企業URL:https://www.meetcleo.com/
Cleoとは
Cleoはチャットボットを活用した、デジタル支出・貯金管理アプリを提供するフィンテック企業だ。
ペイデイローン会社(アプリを介して顧客に短期で高額のローンを提供) のWongaでデータサイエンティストとして働いていたHussey-Yeo氏。
Wongaで働く際に、「現在の銀行は、様々な有益なデータを保有しているのにもかかわらず、顧客にとって興味のない商品を販売したり、支出管理を十分にサポートできていない」ことを痛感した。
この経験から、顧客にとって本当に実用的な支出管理サポートサービスを提供したいと2016年にCleoを創業。現在、世界には多くのAI支出・貯金管理サービスが存在するが、Cleoのアプリは非常にユニークだ。
AIを活用したチャットボットが、まるで友達のように資産管理を手伝う。例えば「このピザ注文してもいい」と質問すれば、「今月は〇〇円貯金できているので、問題ないいよ」といったように。また、「からかってくれ」と伝えると、本当にからかってくれたり、スターウォーズの「ヨーダ」と言えば、ヨーダの画像を送る。
一般的なAI資産管理アプリは、預金残高や支出をカテゴリ分類して表示し、ロボットのように機械的にアドバイスをする。一方で、Cleoはまるで友人のようにサポートをするので、ユーザーは楽しく継続してお金を管理することができる。下の動画は実際のユーザーの声だ。
サービス内容と特徴
Cleoは無料版と有料版のアプリケーションを提供。
使い方は非常に簡単である。ユーザーはアプリをダウンロードして、銀行口座やクレジットカード情報を連携するのみ。Cleoに残高や支出情報が表示され、収入や必要固定費等を共有すれば、Cleoが貯金目標設定を行うことができ、必要な時に応じて様々なアドバイスをする。
また、基本的な機能は無料プランと同じだが、月額US$5.99(約620円)を支払えば、有料プランの「前払い機能」が使用可能になる。日本では、ほとんどの企業が月給制を採用しており、月末にならないと給料を受けることができないが、海外では、前払い制度が普及しており、申請当日や翌日に一定額の金額を前払いで受け取ることができるのだ。
従来、前払いサービスを提供する会社では、経理などに申請するなど複雑な手続きが必要であり、非常に手間がかかっていた。しかし、Cleoにチャットでお願いするだけで簡単に受け取ることが可能になる。
出典: ※同社のウェブサイト記載の写真を参考に筆者作成
Hussey-Yeo氏はこのビジネスにおいて肝心な要素は3つあると述べる。
①NLP(Natural Language Processing)技術
各ユーザーによって物の伝え方は異なる為、何度も機会学習を行い、文脈を読み取り、知的でおもしろい返事をできるようにする。
②銀行やクレジットカードの取引データの分析
昨今、オープンAPIが普及してきた為、各種の取引データを取得できるようになった。
「Uber」という名前の支出があったときに、これはUberのカーシェア、タクシー、あるいはUber Eatsか具体的に何に支出したか判断するように分析する。
③ユニークな返事
従来のロボットのような機械的な返事が返って来た場合、ユーザーはつまらないと感じる。そこで、本当の友達のようなカジュアルな表現方法で、適切なアドバイスをできるように機会学習を行うこと。
2020年には650名を対象としたアンケートを行い、90%が貯蓄に関する考え方が変わり、75%が支出の習慣が良くなり、58%が2019年と比較してより貯蓄できたという。
2020年には、全世界でユーザーは400万人を超え、今後さらにZ世代を対象にサービスを拡大していく。
最後に
日本でも、マネーフォワードやマネーツリーのように、家計の可視化を楽チンにするサービスが浸透している。しかし、Hussey-Yeo氏が述べたように、機械やロボットが台頭してきた時代だからこそ、人間味のあるサービスに需要があるだろう。
これからのビジネスは、効率的なテクノロジーと感情を持つ人間のバランスの融合が重要なのかもしれない。