【フードテック】発注業務の負を解消するモバイルアプリChoco

会社概要

Chocoとは、ドイツ・ベルリンに本拠地を置く、飲食店向け・発注元業者向けの発注モバイルアプリを運営する会社だ。ベルリンはここ数年でスタートアップ企業が集まる街として注目を集めているが、Chocoもその中の一つだ。これまで複数回に渡り3,000万ドルを超える資金調達に成功している。

飲食業界において発注業務は毎日のように発生する中核業務である一方、ほとんどの材料は毎日大きくは変わらない。言い換えるならば、ルーティーン化できる業務ともいえる。にもかかわらず、未だにファックスや電話等、人力での発注が横行。それも複数の異なる発注先にだ。ミスが度々発生するのも想像に難くない。当然そのミスが発生すると余計なやり取りとコストが発生するため、発注元・発注先双方にとってデメリットだ。

これに目をつけたのがChocoだ。レストランのオーナーや食品サプライヤーが、1か所で売買とコミュニケーションがとれるようモバイルアプリを開発し、発注業務全体のワークフローを最大限効率化することを目指す。2020年時点では、ドイツ、スペイン、フランス、アメリカ、ブラジル等を含む9か国でサービスを展開。今後も拡大していくことが予想される。

企業情報

企業名:Choco

創業年:2018年

創業者:Daniel Khachab, Julian Hammer

創業国:ドイツ

従業員数:98人

企業URL:https://www.choco.com/

サービスの特徴

1. 発注業務を1か所に集約

 飲食店側(発注元)も生産側(供給側)も同じプラットフォームを利用するため、1つのアプリ上で、営業に必要な全ての発注を完了できる。清算機能だけでなくコミュニケーション機能も備える。例えば供給側が複数の取引先にキャンペーン情報を送ることもChoco上で可能なのだ。これが業務効率化に繋がる。同社は、Chocoのユーザーは1週間当たり2時間以上の時間削減を達成できる、としている。

(下記画像はChocoウェブサイトより抜粋)

Choco画面サンプル

2.常に最新の在庫情報

 情報は常に最新の状態に保たれており、在庫切れの材料が一目でわかる。これによりミスコミュニケーションの可能性が低減される。(下記画像はChocoウェブサイトより抜粋)

Chocoサンプル

3.無料で利用可能

 2020年時点では、サービスの利用者拡大のため基本的に無料で提供。発注元・供給側ともに無料で利用できるため、気軽にスタートできる。

ビジネスモデルと収益源

Chocoビジネスモデル

基本的には無料で利用でき、収益化していないと見られる。ただし一部有料プランもあり、供給側のデータベースとの連携を有料のプレミアムプランとして提供する。

まとめ

新型コロナウイルスの影響で、店舗から品物が消える日が続いていたのも記憶に新しいだろう。また一方でChocoは、生鮮食品を取り扱うパートナー企業が大量の売れ残りを抱えるという問題にも直面していた。食料サプライチェーンのバランスが大きく歪んでいたのだ。こうした状況で同社は、供給網を整えるべく、取引先のデジタル店舗出店(D2C)を支援。21日間で地元の消費者と取引先を繋ぎ、D2Cの顧客基盤をゼロから500へ増加させ、その取引先はスタッフを解雇せずに済んだ。結果としてフードロスの削減にも貢献。利便性の提供だけでなく社会的問題の解決の一助となった。これについて、同社の共同創業者であるKechab氏は、Chocoのソリューションを「レストランとサプライヤーの関係性改善だけでなく、飲食業界における一般的な問題である食品廃棄問題を解決する一歩を踏み出してくれるものでもある」と語る。サステナビリティの観点からも、今後目が離せない企業だ。

 

筆者
財前 ワタル。Business Earthライター。経営コンサルティング会社でコンサルタント、リサーチャーを担当した後、拠点を北米に移し、広告代理店に勤務。現在は再度日本に拠点を移し、フリーランスとして広告運用、市場調査(主に北米)、記事執筆を生業とする。