利益を生み出す仕組み「ビジネスモデル」その種類や特徴とは?

ビジネスマンであればもはや聞いたことがない人はいないであろう「ビジネスモデル」という言葉。今回はビジネスモデルの意味やその種類、代表的な企業やブランドを紹介したい。

目次

1.ビジネスモデルとは?
2.ビジネスモデルに必要な5W1H
3.Why(なぜ?)が特に重要な理由
4.ビジネスモデルの例
5.まとめ

ビジネスモデルとは?

「ビジネスモデル」はその名の通り「ビジネス(事業)」が利益を生み出すための「モデル(仕組み)」である。
世の中全てのビジネスが何らかの仕組みを利用して利益を生み出している。企業に属しているビジネスマンであれば、自社のビジネスモデルを理解することで自身の役割や貢献の仕方が明確になる。またこれから事業を興す起業家にとっては、自社がどういったビジネスモデルを採用するかを明確することで事業を成長させるために何をすべきかがはっきりする。

ビジネスモデルに必要な5W1H

ビジネス雑誌やWEB媒体を見ると様々なビジネスモデルの用語が目につく。

・フリーミアムモデル
・プラットフォームモデル
・サブスクリプションモデルなどなど…
現代には様々なビジネスの「仕組み」が存在する。しかし、どのビジネスモデルを採用するかを検討する前に、もう少し本質的な部分に目を向けてほしい。
それは「そのビジネスをする意義はどこにあるのか?」ということである。あるビジネスが利益を生み出すには必ず”顧客”が必要だ。
・顧客はどこにいるのか?
・顧客にどのような商品やサービスを提供するのか?
・なぜその商品・サービスを提供するのか?など、まずは会社や自身のビジネスが存在すべき価値を明確にする必要がある。
そこでよく使われるのが”5W1H”。この軸に従ってビジネスを分解していく。
①Who(誰に?)
②What(何を?)
③When(いつ?)
④Where(どこで?)
⑤Why(なぜ?)
⑥How(どのように?)

例えば、あるブランドが化粧水を販売する場合
①Who(誰に?)
└25歳~35歳の女性
└肌の乾燥による肌荒れに悩んでいる人

②What(何を?)
└保湿力が優れた化粧水

③When(いつ?)
└顧客目線:乾燥が気になる冬
└自社目線:市場が急成長しているタイミング

④Where(どこで?)
└オフライン:ドラッグストアやバラエティストア…
└オンライン:楽天、アマゾン、自社EC…

⑤Why(なぜ?)
└(なぜ?1)肌悩みを抱えている女性の悩みを解決したい
 └(なぜ?2)コンプレックスなどの悩みを解決することで自信を取り戻してほしい
  └(なぜ?3)人生をより良く過ごしてほしい
   └(なぜ?4)幸福に生きることが人にとっては最も重要であるから…

⑥How(どのように)
└SNSを中心としたインフルエンサーマーケティング、TVCを使ったマスマーケティング

このようにビジネスを組み立てる要素を分解することで、
ドラッグストアなどを中心としたいわゆる”小売モデル”を採用するのか、リピーターを顧客の軸とする”サブスクリプションモデル”を採用するのかなどビジネスモデルの選択や構築を行うことが可能になる。

Why(なぜ?)が特に重要な理由

従来のビジネスは①Who(誰に?)②What(何を?)が重要視されてきた印象がある、いかに”良い商品”を”顧客に届けるか”が最重要項目であった。
しかし、社会や顧客の変化によりそれだけでは市場勝ち残っていくことが難しくなっている。社会的・市場的背景にはSDGsやサステナブルなど、企業も社会が抱える問題や課題解決への取り組みが必要になってきたことや、消費者(顧客)のニーズが細分化されてきたことなどが挙げられる。もう一方ビジネスを行う側の意識にも変化が見られる。例えば企業で働くビジネスマンであれば「なぜ自分はこの会社にいるんだろう?」とふと考えたことはないだろうか。同じ業態・待遇であればどの企業で働いても同じはず。もちろん人間関係などの問題もあるが、複数の人間が同じ場所で働く限り人間関係の問題は多かれ少なかれ存在する。ではそれでもある企業を選び、そこで働き続ける理由として会社の”理念やカルチャー”が重要になる。それが企業にとっての⑤Why(なぜ?)に当てはまる。”理念やカルチャー”が確立され、しかもそれが社内のメンバーに浸透している企業は同じ目標に向かって進むことができたり、困難に直面してもそれを解決しようと多くの人が努力することができる。組織を強固にする意味でも現代では”Why(なぜ?)”が特に重要になってきている。

ビジネスモデルの例

ここからは実際のビジネスモデルについて紹介したい。
①D2Cモデル
D2CモデルとはDirect to Consumer(消費者直接取引)の略。メーカーやブランドの製造元が中間業者を通さず、直接消費者へプロダクト(商品)を販売するモデル。主にWEBサイトを通じて商品を販売する。顧客の商品体験を通して、商品に対する声を直接聞くことができるため商品やサービス改善のPDCAを高速で回すことができる。また中間業者を通さないまたはプラットフォームに依存しない分、コスト面でメリットがでる。しかし、集客などは単独で行う必要があるため広告やマーケティング面でのノウハウなどが必要となる。
【事例】
日本
・BULK HOMME:男性用化粧品ブランド
・BASE FOOD:健康食品ブランド
・ドモホルンリンクル:化粧品ブランド

海外
・SHEIN(中国):アパレルブランド
・PerfectDiary(中国):コスメブランド
・Glossier(アメリカ):コスメブランド

②プラットフォームモデル
商品やサービスを販売したい側とそれを必要とする消費者を結びつけるプラットフォーム(場所)を提供するビジネスモデル。プラットフォームを提供する事業者を「プラットフォーマー」と呼ぶこともある。出店費用・プラットフォーム内の広告・販売手数料を主な収入源とする。販売側としては、多くの潜在顧客が集まる場所に出店することで自社単独で集客をするより効率的に集客をすることが可能。消費者側としては一つのプラットフォームに多くの店舗があるため、一度に多くの商品やサービスを比較検討・購入できるという点でメリットがある。販売側としては集客の面でメリットがある一方、出店費用、広告費、販売手数料など運営の面で一定のコストが発生する点においてデメリットと言える。
【事例】
日本
・楽天
・メルカリ

海外
・Alibaba(中国)
・JD(中国)
・抖音※中国版TikTok(中国)
・Amazon(アメリカ)
・LAZADA(東南アジア)

③サブスクリプションモデル
定期的に・一定の費用を支払うことでサービスや商品を利用することができる。映像・音楽サービスなどの無形商材からアパレル・家具・自動車などの有形商材まで幅広いカテゴリで普及しているビジネスモデル。定額費用を払い続ける必要はあるが、利用頻度が高い場合1つの作品や商品を購入するよりお得に利用できるというメリットがある。
【事例】
日本
・MEDULLA:オーダーメイドヘアケアブランド
・オイシックス:野菜などの食品
・KINTO:自動車
・Progate:プログラミング学習サービス

海外
・Amazon prime(アメリカ):動画・音楽・書籍などのサービス
・Netflix(アメリカ):動画視聴サービス
・Hulu(アメリカ):動画視聴サービス

④フリーミアムモデル
動画サービスやソーシャルゲームなどで見られるモデル。基本機能やサービスは無料で利用できるが、課金することでより多くの機能やサービスを利用することができる。
【事例】
日本
・ニコニコ動画:動画視聴サービス
・パズドラ:スマホゲーム

海外
・YOUTUBE(アメリカ):動画視聴サービス
・Zoom(アメリカ):オンライン会議システム
・iQIYI(中国):動画視聴サービス

まとめ

利益を生み出す仕組みである「ビジネスモデル」の情報はWEBで検索すると簡単に調べることができる。しかしこれはあくまで仕組みに過ぎない。競合他社との競争に勝ち、市場での優位性を発揮するためにはやはり”Why(なぜ?)”をとことんまで追求する必要がある。なぜ顧客にそのサービスや商品を届けるのか?なぜ自社でそれをすることが必要なのか?などを明らかにしたあとビジネスモデルという仕組みが事業の成長に大きく役立つ。
今回紹介したビジネスモデルは現在存在しているものの一例に過ぎない。また商品やサービスにライフサイクルがあるようにビジネスモデルにも流行りや廃れの時期がやってくる。今後はこれまでになかったビジネスモデルも生まれてくるだろう。既存のビジネスモデルの枠組みに囚われず新たなビジネスモデルを作り出す企業や起業家がぜひ日本から生まれてくることを期待したい。

筆者

Fukushima Gaku
大学卒業後、中国北京へ留学。
留学先では中国語アナウンサー技術を学習。
広告代理店、リサーチ企業などを経て、現在は消費財メーカーにて中国ビジネスに従事している。