Bear Roboticsとは?
Bear Roboticsとは、レストランなどで使用されるような配膳ロボットを提供する会社だ。創業者の一人であるJohn Haは、 Googleでエンジニアとして働く傍らレストランをオープンした。しかし、スタッフの欠席や急な離職によるレストラン運営への深刻な影響が、経営者としての同氏を悩ませた。同時に、従業員と共に現場で働く経験から、飲食業にはきつい肉体労働の側面があるということを痛感する。この「経営への負」と「従業員への負」を解決すべく、Fangweiらを誘い配膳ロボットの開発に本格的に着手する。それがBear Roboticsの始まりだ。
コロナウイルスワクチンの接種率増加と共に経済活動復調の動きが出てきており、それに伴い様々な産業での人手不足も顕在化してきている。世界的な求人サイトindeedの発表によると、アメリカの労働市場において「急募」案件が増えてきているという。例えば、調理系・サービス系・ホスピタリティ・観光等の分野では「急募」案件が約2%、介護・ホームケアなどの分野では4%以上が「急募」として掲載されているとした。ただ一方で、人類がコロナウイルスを完全に克服したとは言い難く、素早い人員確保は容易ではないだろう。
このような状況に一石を投じる可能性があるのが、Bear Roboticsだ。同社は2017年にアメリカでスタートし、同年に75万USドルの資金調達に成功。2018年には、280万USドルの調達、新型機の発表、韓国支社のローンチを進めた。20219年にはキッチンイノベーションアワードを受賞。2020年には更なる資金調達に成功。また、日本市場の拡大をソフトバンクロボティクスとのパートナーシップの中で進めていくと発表した。このソフトバンクとの提携でServiというサービスを開始し、ファミリーレストラン・焼肉店・結婚式場・等での導入に成功。Serviによると、以下のような成果をあげているという。
・スタッフのホール滞在時間が2倍に増加(それに伴いきめ細やかな接客が期待できる)
・座席回転率が21%アップし日時売上が5万円増加
・労働時間の最適化(1日9時間分の作業が効率化)
すでにアメリカや韓国でも導入が進んでおり、総走行距離は31,400km以上、総配膳回数220万以上、総配膳顧客数132万以上の実績を有する。
企業情報
企業名:Bear Robotics Inc
創業年:2017年
創業者:John Ha, Fangwei Li
創業国: アメリカ合衆国
従業員数:95人(2021年7月時点、LinkedInより)
企業URL:https://www.bearrobotics.ai/
サービスの特徴
1.インストールが超簡単
電源を入れたあとは、店内マップのインストールボタンを押すだけで、自動で店内を循環しレイアウトを把握。人工知能により自ら学習するため、人力によるインプットの手間を省き、効率的に店内を動き回ることが可能だ。
2.複数台との連携が可能
1台では足りない場合、例えば店舗が大きい場合などは複数台で運用することができる。この場合それぞれが判断して独自に動くのではなく、連携し最も効率の良い運用を自動で行ってくれる。
3.分析ツール付き
ロボットが1日にどのような動きをしたのかスマートフォン等でチェック、改善することで永続的に効率性を高めることができる。
ビジネスモデルと収益源
配膳ロボットのレンタルで収益を得ている。例えばソフトバンクグループとサービスを展開するServiでは、3年間の契約で99,800円(950USドル)で配膳ロボットを貸出している。
まとめ
このBear Roboticsはあくまで配膳のサポートという印象だ。というのも、接客のコアである「対面」は人間が担い、物の持ち運びはロボットに任せるという分業体制を推進するためだ。今後は飲食店のみならず、幅広いシーンで利用されるだろう。ホテルや学校、はたまた病院や介護の現場でBear Roboticsを見る日はそう遠くないのかもしれない。尚、2021年7月時点で無料お試しキャンペーンを展開している模様。詳細は以下のURLから。
https://www.softbankrobotics.com/jp/product/servi/
筆者プロフィール
財前 ワタル。Business Earthライター。経営コンサルティング会社でコンサルタント、リサーチャーを担当した後、拠点を北米に移し、広告代理店に勤務。現在は再度日本に拠点を移し、フリーランスとして広告運用、市場調査(主に北米)、記事執筆を生業とする。