【インシュアテック】AI自動車事故査定業務の自動化サービス

はじめに

インシュアテックとは保険とテクノロジーを掛け合わせた造語だ。

保険料を算定する機械学習、保険契約者の情報を収集するセンサや、質問応対用のコミュニケーションチャットボットなど世界的に今注目を集めている業界となる。

保険算定業務から請求管理に至るまで、テックを活用したオペレーションに少しずつ変わり始めており、コスト削減はもちろん、売上拡大などの効果が期待される。特に損害保険が最もインシュアテックが進み、当全体市場の約50%に上るとも言われている。

例えば、自動車事故履歴からリスクを特定し、保険数理表を用いてあらかじめリスク分類に振り分けを行っていたのが、保険会社における従来の引受業務であったが、インシュアテックを活用すればGPS追跡装置、ウェアラブル機器を使用した活動記録などリアルタイム情報を得ることができ、保険料の算出も自動で行うことができるのだ。

保険料率は保険対象となる資産が変化したときに調整がかかるなどして、算出することが可能。従って、リスク特定制度が飛躍的に上昇するため、保険料の課題/過少請求が起こりにくくなるのだ。更に人件費の削減はもちろん、保険金を迅速に支払うことができるため、顧客満足度の向上を図ることができる。

また従来型の保険サービスは情報透明性が低いことから、不信感を抱く顧客も少なくない。更に迅速に保険金請求に対応できず、顧客維持率に影響が出たりと新規加入者が増えづらいなどして、悩みを抱えていた。そういったソリューションを解決するためインシュアテックの需要が拡大し続けているのだ。

企業情報

  • 企業名: ControlExpert
  • 起業年:2002年
  • 創業者: Kai Siersleben
  • 従業員数:800人
  • 企業URL: https://controlexpert.com/de-en/
    (2021年2月時点)

コントロールエキスパートのサービス

コントロールエキスパートは自動車損害保険に特化したインシュアテックサービスを展開しており、ヨーロッパ、アジア、アメリカ、南米を中心に17か国、140社の保険会社の顧客を持つドイツの企業である。

保険会社、自動車販売メーカー及び販売店などがビジネスパートナー、またフラウンホーファー研究所や、ドルトムントのRWTHアーヘン、TUなどの大学が研究パートナーとして提携している。

ドイツでは、修理工場が保険会社に提供する見積もりの半分が何かしたらのエラーを抱えており、必要以上に修理費を払わなければいけない状況が続き、見積もりが正しいかどうか再調査を行うために、事故調査員を派遣するなどしていたため、保険会社のコストが積み重なり続けていたのだ。

そのような中、コントロールエキスパートは、過去の蓄積データを基にAIに学習させることによって、部品修理にかかる費用が適切かどうか、自動で算出することができるサービスの提供をはじめた。

2014年からAIを活用し、今では200,000枚の画像処理を行い、データの精度を日々上げ続けているのだ。ドイツの大手保険会社によると、同社のサービスを活用することによって、年間1億ユーロ(124億円)以上節約できるとのことで、大幅なコストカットに繋がる結果となっている。

同社の主サービスは以下4つとなる。

EASYClAIM

通常、数週間かかると言われている損害査定業務をわずか数時間まで短縮する保険会社向けサービス。ほぼすべての業務をデジタル処理するため、実現が可能となった。

EASYClAIMGO

修理工場のスタッフが自動車事故で損傷している箇所の写真をコントロールエキスパートに送付し専門家が瞬時に計算、その後、修理会社に知らせるサービス。

SPEEDCHECK

自動車事故で損傷した箇所からリアルタイムで修理コストを算定できる保険会社向けサービス。算定コストを極限まで下げることが可能。

GLASSCHECK

デジタルプラットフォームを介して、保険会社向けに損傷したガラスの費用に関する請求書の提供を行うサービス。

最後に

その他にも様々なサービスを展開しているが、全体サービスを通して自動車事故でかかわる全てのステークホルダーとその情報伝達の最適化にフォーカスした事業作りに注力している。また、国別保険市場規模第3位の日本への参入、さらに、マレーシア、インドなどへの進出計画も発表しており、今後ますます、拡大に向けて動きだしているようだ。

新型コロナウイルスの影響で、保険加入や損害査定など人の手を介さないインシュアテックへの需要が高まっているため、従来型の保険会社もバリューチェーン全体に渡り、デジタル化を余儀なくされている。

著者プロフィール

小松彰洋。Business Earth管理人。大学卒業後、外資系IT企業で営業やマネジャー職を経て、現在はIT関連の経営コンサルティングやソフトウェアセールス領域で活動中。